私は、女性とのコミュニケーションで、たくさんたくさん失敗してきました。
よく、「もともと女性と接するのが上手だったんでしょ？」と言われますが、そんなことはありません。むしろ、とても苦手でした。できることなら、女性とあまり接することなく仕事をしたいと思っていました。しかし、あえて女性比率95%の企業に転職したことでやらざるを得なくなったのです。女性とのコミュニケーションが苦手だった私は毎日毎日失敗ばかりしていました。それはなぜでしょうか？
それは、女性の気持ちを理解しようとしなかったからです。しかも、女性の気持ちのことを誰も教えてくれませんでした。だから、毎日毎日失敗の連続だったのです。
これではいけないと気づき、いろいろなことを勉強し、実践することで、少しずつ女性と良好な関係をつくることができるようになり、500人以上の女性社員をマネジメントするまでになりました。
もしかしたら、当時の私と同じような思いをされている男性リーダーがいらっしゃるかもしれません。そんな方に私は言いたいです。「絶対に大丈夫！必ず女性社員とよい関係性をつくることができるようになりますよ！私ができたのですから！」
私がたくさんたくさん失敗してきたからこそ、お伝えしたいと思っています。

ここ最近、やりづらさ、生きづらさを感じている男性が多いようです。
「男は人前でしゃべるな、泣くな、根性を出せ、背中で見せろ、弱音を吐くな」のような、「男性はこうあるべき」という固定概念が少なからずあるからです。私も、そのような風潮の中で育ってきて、20代の頃はそのように思って仕事をしていましたし、後輩にもそのように言っていました。しかし、時代が変わり、個を尊重する多様性の時代となった今、そのような考え方は時代遅れと言われるようになりました。
ただ、私はその考え方を否定するつもりはありません。それも、個を尊重する多様性ですから。しかし、その考えを押し付けることはいけませんし、その考えにとらわれ過ぎるあまり、悩んだり、ガマンしたり、しんどくなったり、苦しくなったりしてはいけません。
もし、そのような男性がいらっしゃれば、「こんなふうにすればいいですよ」と、解放して気持ちをラクにしてあげたいと思っています。気持ちがラクになれば、これまで発揮できなかった能力が発揮できるようになり、大きな成果を上げていくことができるようになります。
私は、男性に対する固定概念を持ったまま女性の企業に飛び込みましたので、悩みと苦労が絶えませんでした。しかし、考え方をほんの少し変えるだけで気持ちが随分ラクになりました。
私がそうだったからこそ、悩める男性を応援したいと思っています。

人が成長すれば、それに伴い企業も成長します。人の成長も企業の成長も、はじめはかなり緩やかですが、あるときを境にギュイーンと伸び出します。そのあるときとは、社員一人一人が自立型人財になり始めたときと、一人一人の力が重なり始めたときです。さらに、一人一人の力が足し算から掛け算に変わるとき、全体の力は最大化し始めます。一人一人ががバラバラに動くのではなく、お互いがサポートし合うことで足し算から掛け算に変わります。特に、女性と男性では得意なことや能力の発揮の仕方が異なることがあります。それぞれが得意なことを活かしながら、苦手なところをサポートし合うと大きな相乗効果が生まれます。苦手なところを克服しようとするのではなく、得意な人にサポートしてもらうことが成長の近道です。特に中小企業は限られた資源を最大化させるためにこのことが必要です。私自身、このことを体感してきました。変なプライドが邪魔をして、自分の成長も他の人の成長もチームの成長も阻害していました。しかし、このことに気づき実践すると成長が加速し始めました。私が経験したからこそ、実践していただきたいと思っています。